2.2 非同次熱方程式 (簡単な場合)

(1) の代わりに

(6) $\displaystyle u_t(x,t)=u_{xx}(x,y)+k u(x,y)$   ( $ (x,t)\in(0,1)\times(0,\infty)$)

を考えてみよう。ここで $ k$ は任意に与えられた実数とする。

$ k<0$ の場合は、棒をとりまく空気の温度が $ 0^\circ$ で、 熱的に絶縁がされていなくて、Newtonの冷却の法則に従って、 空気中に熱が逃げる、というように解釈できる。 $ k>0$ の場合は、(やや人工的な想定かもしれないが) 温度に比例した熱が発生する状況と考えられる。

$ k<0$ の場合はリアリスティックであるが、$ k>0$ の場合を考えてみよう。 境界条件としては、まずは (5) を考えてみよう。 プログラム作成はかなり簡単な方で、差分方程式を プリント [1] の (43) から

(7) $\displaystyle \frac{U_{i}^{n+1}-U_{i}^n}{\tau} =(1-\theta)\frac{U_{i+1}^{n}-2U_...
...^n}{h^2} +\theta\frac{U_{i+1}^{n+1}-2U_{i}^{n+1}+U_{i-1}^{n+1}}{h^2} +k U_{i}^n$

に置き換えればよい。あるいは (46) の右辺に

$\displaystyle +k\begin{pmatrix}
U_{1}^{n}\\
U_{2}^{n}\\
\vdots\\
U_{i}^n\\
\vdots\\
U_{N-2}^n\\
U_{N-1}^n
\end{pmatrix}$

を加えるだけ、という方が親切か。

$ k$ を色々変えて試してみること。実は
ある $ k^\ast>0$ が存在して、

$\displaystyle k<k^\ast\quad\THEN\quad \lim_{t\to\infty} u(x,t)=0$   ($ x\in[0,1]$)$\displaystyle ,$

$\displaystyle k>k^\ast\quad\THEN\quad
\lim_{t\to\infty} u(x,t)=+\infty$   ($ x\in(0,1)$)

が成り立つ。
境い目である $ k^\ast$ の値はどれくらいだろうか。 差分法の分割を十分細かくしてやってみよう。 これはしばらくクイズとしたい。 答えは式ではっきり書くことが出来て、 かなり意外かもしれない (人によるだろうけれど、私はびっくりしました)。 出来た人がいれば、その人に説明してもらう。



桂田 祐史