53 古い macOS で Exchange を使う (新年度のメール生活のための調査)

(当分はあちこち掘り返す感じの作業なので、 細かい設定法については、(記録はするけれど) 当分の間 WWW には載せないつもり。 全部できたら、整理するけれど、それまではぐちゃぐちゃだろう。)


明治大学では、 構成員(学生・教職員)むけに、 Meiji Mail という名前のメール・サービスを提供している。 使っているのは Microsoft の Exchange というものである (Exchange がどういうものか、詳しいことは実はよく知らない)。

Meiji Mail では、これまでは、 普及している POP, IMAP, SMTP をサポートしていたが、 多要素認証を徹底させるために、 2020年4月からはそれらの古いやり方を切り捨てる、とのことである。 closed なシステムはあまり使いたくないので、 Meiji Mail を使うのを止めて、外部のメール・サービスに移行しようかとも思ったが、 完全に止めるのもなかなか難しそうである (ac.jp ドメインでないと面倒なことが色々ある)。

すでに書いたように、Mojave 以降の macOS の標準メールアプリ (Apple Mail) は、 Exchange をサポートしているが、 そうでないメール・クライアント (これまで使っていた Mew とか Thunderbirdとか) では、Exchange をサポートしていない。

春休みに入って、少し調べてみたら、 DavMail というソフトウェアがあることを知った。 これは普通のメール (のみならず、カレンダー、LDAP) クライアントと Exchange サーバーとの仲立ちをするソフトウェアである。 (参考: 「Outlook以外のメールクライアントでExchangeを利用できる「DavMail」」)

これを走らせれば、Exchange 未対応のメール・クライアント(メーラー)を使って、 Meiji Mail にアクセスできるみたい、と気づいたので、 ちょっと試してみる気になった。


ステップ1: Java の準備     DavMail は Java を使う (それで結構ポータビリティが確保できるようで、 感心する)。 Mac には標準で Java がインストールされているが (/usr/bin/java とか)、 それは非常に古いバージョンなので、 新しいバージョンの Java (の runtime) が必要になる。

https://www.java.com/ja/ にアクセスして (Mac の場合は https://www.java.com/ja/download/mac_download.jspに導かれる)、 jre-8u241-macosx-x64.dmg を入手してインストールした。 これは特に難しいところはない。


ステップ2: DavMail のインストール     https://sourceforge.net/projects/davmail/files/ から 最新版 5.4.0 の中にある DavMail-MacOSX-5.4.0-3135.app.zip を入手した (バージョン 5.2.0 以降でないといけないとか)。 DavMail.app が出てくるので、アプリケーション・フォルダに移して、 ctrl+クリックで開く。 Davmail Gateway Settings の Main で、 Exchange Protocol を O365 にして、 Save して終了して起動し直す (起動し直す必要はないかも)。

図 4: DavMailの設定: Exchange Protocol を O365 にして Save
Image DavMail_Gateway_Settings

Accessing MFA Outlook.com from Linux というサイトを参考にしたが、実際に設定をいじったのは、1つだけだった。


ステップ3: メールクライアントの設定 (Thunderbird を例にして) Thunderbird を起動して、 [ファイル]→[新規作成]→[既存のメールアカウント] を選択して設定する。 Thunderbird からしてみれば、 localhost が (ポート番号が標準とは違う) SMTP, IMAP サーバーになっている、 というだけのことである。 localhost なのでセキュリティ上の心配をする必要はない (という理解で正しいだろうか?)。

名前 指定した値  
メールアドレス [email protected] (これは架空のアドレスです)  
SMTPサーバーのサーバー名 localhost  
SMTPサーバーのポート番号 1025 (これは DavMail のデフォールト)  
SMTPサーバーの接続の保護 なし  
SMTPサーバーの認証方式 平文のパスワード認証  
IMAPサーバーのサーバー名 localhost  
IMAPサーバーのポート番号 1143 (これは DavMail のデフォールト)  
IMAPサーバーの接続の保護 なし  
IMAPサーバーの認証方式 平文のパスワード認証  

(ポートの番号に深い意味はなく、標準の番号に 1000 を足しただけだろう。 メール・アドレス以外に、 サーバーのホスト名などの個別の情報が必要ないことに注意。)


学内ネットワーク (MIND) からアクセスする場合は、 これだけで一応動き出した。


しかしMINDの外からはうまく行かない。非常手段で、 DavMail を MIND 内に置いてあるホスト (Mac) で動かして、 ssh でトンネルを掘ったら、 MIND 外のメーラー (Thunderbird とか) を動かすことが出来た (この辺は当面説明しない)。


後は、新年度になって、Meiji Mail の Exchange の設定がどう変わるかだな。 多要素認証との戦いが待っていそう。(続く)

(2021/1/9加筆) 続きを 「自分の環境更新の記録: Davmail&Mew を試してみる」 に書いた。

桂田 祐史
2020-04-20